宋ゼミを志望する皆様へ

担当科目

入ゼミの課題

  • 応募者への課題
    1. これまで最も熱心に取り組んだ科目名 (最大5つ)
      • 科目名のみでも受け付けますが、可能な限りそれぞれの科目についてその理由を述べてください。
    2. 現時点における取り組みたい卒業論文テーマ (テーマは配属後、変更可能)
      • そのテーマに関心を持つようになった理由・きっかけ
      • 具体的に何を明らかにしたいか
      • 現時点における思いつきでも問題ありません。

オフィスアワー (第2次募集)

専門演習の応募前に必ずオフィスアワーに参加してください。

  • オフィスアワーは予約制となっております。
    • 参加登録へ (リンク) ここをクリック
    • 希望者がいたので11月24日(火)にZoom枠を追加しました。
    • 電話番号の入力は必須となっておりますが、「00000000000」など、適宜11桁の半角数字をご記入ください。
    • オフィスアワーの直前までに登録可能です。キャンセルは1時間前まで可能です。
    • 定員が残っている場合は、予約なしでも参加可能です。予約者が0人の場合も、最初の10分は宋がTA227にて待機します。
    • メールでの予約も可です。メールアドレスは下記参照。氏名とメールアドレス、希望する日時を記載してください。
  • 場所はA棟の227研究室(TA227)です。
  • 第2希望、3次募集を考えている方もなるべくご参加ください。
    • 応募者数が募集定員を超える場合(多分、ないでしょうが…)、オフィスアワーに参加された方を優遇します。ただし、志望理由、課題などを総合的に考慮して選抜します。
  • オフィスアワーでは、ゼミの概要、質疑応答、簡単な面談を行います。
  • 対面オフィスアワーの場合、持ち込みの飲食OKです。
  • 定員に達することはないと予想されますが、各時間帯において2〜4人程度に制限致します。
  • オフィスアワーの参加者数に応じてオフィスアワーを増やす場合もあります。最新状況は本ページを参照してください。
  • 下記の日程は参加が困難であるものの、オフィスアワーに参加を希望される方は宋にメールください。
  • ご不明な点がございましたら、ご気軽に宋までメールください。
    • 宋の連絡先: song [at] kansai-u.ac.jp ([at]を「 @ 」に替えてください。)

オフィス・アワー(ゼミ説明会/面談)は以下の日程で実施します。

日付 曜日 時間 備考
11月16日 昼休み (12:15〜12:55) 約5分遅れで開始
11月16日 3限目 (13:00〜14:30)
11月16日 4限目 (14:40〜16:10)
11月17日 4限目 (14:40〜16:10) Zoom開催
11月19日 3限目 (13:00〜14:30)
11月19日 4限目 (14:40〜16:10)
11月22日 昼休み (12:15〜12:55) 約5分遅れで開始
11月22日 3限目 (13:00〜14:30)
11月22日 4限目 (14:40〜16:10)
11月23日 12:00〜12:50 Zoom開催 (新規枠)
11月23日 4限目 (13:00〜14:30) Zoom開催 (新規枠)

研究の例

2022年度は宋ゼミ第1期であり、これまでの研究例はございません。以下のリストは宋ゼミでなく、宋が指導してきた学部生たちの自主研究のテーマ(の一部)です。

  • どんな人がアイドルに熱中しているのか?
  • デレビ放送と投票行動
  • 不祥事が選挙結果に与える影響について
  • 海外志向はどこから
  • 海外留学を目指すきっかけ
  • 過剰人気
  • 男女における「女子力」認識の差
  • ハロウィーンはいかにして「流行」したのか:時系列による単語間の相関に注目して
  • 政治家を選ぶ基準、友人を選ぶ基準、交際相手を選ぶ基準、結婚相手を選ぶ基準
  • 政治家のツイートが得票に与える影響

何をするゼミか

 本ゼミは社会現象のデータ分析(+美味しい飲食店情報の共有)を主な内容とします。ここでは一つの例を見ながら考えてみましょう(宋の専門は政治学であるため、政治の例を挙げます)。

 2016年度の参院選から18歳投票権が導入されました。若者の政治参加が期待されている中、選挙後年齢別投票率が公開されました。以下のグラフは都道府県別に投票率を示したものです。

 これまで日本では都市部の投票率が低く、非都市部の投票率が高いと言われていました。実際、これまで参政権を有していた20歳以上に限定してみると(青い棒)、長野、島根、山形当たりが最上位となります。一方、都市部の東京はやや高めでしたが、その他の大阪、愛知、千葉当たりの投票率は低い傾向を示しています。しかし、18歳の投票率はそうではありませんでした。最も高いトップ3は東京、神奈川、愛知といった都市部でした。若者ほど投票に参加しないのが長年の観察から得られた傾向ですが、これらの都道府県は18歳の投票率が20歳以上の投票率を凌駕しています。これはなぜでしょうか。

 他にも様々な問いが考えられます。我々が街中で見る「投票に行きましょう」ポスター、これは本当に効果があるでしょうか。世論調査と実際の選挙結果がずれることはなぜでしょうか。みんな仲良くすれば良いのに、なぜ戦争が起こるでしょうか。

 このように社会には「なぜ?」や「本当に?」といった謎(パズル)がいっぱいあります。本ゼミはこのような社会における謎を対象に、データを用いた実証分析を行います。近年、データの重要性が高まっており、データサイエンティストの需要が急増しています。データは社会の謎を解く一つの鍵でありながら、より良い社会を実現するための鍵でもあります。データを有効活用するためにはデータ分析そのものの発展も不可欠です。本ゼミでは2年間にわたって(1)問題を発見し、(2)問いを設定し、(3)問いに対する答えを導き出すためのスキルを身につけることを目標とします。

 以下の内容は現時点での予定です。2022年度はゼミ1期目であり、皆さんと相談しながらゼミの進め方を調整していく予定です。

専門演習(3回生)

  • 前期
    • 文献講読(リサーチデザイン)
    • 分析ツール(R)の使い方の習得
    • データ分析の技法(基礎)
  • 後期
    • データ分析の技法(基礎)
    • グループ単位の共同研究

卒業研究(4回生)

  • 前期
    • データ分析の技法(応用)
    • 既存研究の再現(replication/reproduction)
  • 後期
    • 卒論に向けた個人研究

宋は何者か

 私は政治行動論と政治学方法論を専門としています。政治行動論は政治における様々な主体(有権者、市民、政治家、官僚、マスコミ、若者、ネット民など)の行動や意識を観察したり、因果関係を分析する学問ですが、私の主な観察対象は有権者です。この観察や分析を支えるのが政治学方法論です。観察には観察済み(=既に公開されている)のデータを使うこともあれば、自分の問いを検証するために世論調査などを通じて観察する場合もあります。私の研究活動に興味のある方はResearchページ、使用するツールに興味のある方はTutorialページを参照してください。趣味はグルメとゲームです。麺類(とりわけラーメン)が好きですが、最近は少し控えております。ゲームは最近、Judge Eyes (PS5版)をプレイしております。


宋ゼミが求める人物像

1. 積極性

費やした時間と成果は比例します

 ネットワーク分析で有名なバラバシ先生は、成功(success)のためには何度もチャレンジしていくことが重要であることを強調しています。大変面白い動画ですのでぜひご覧になってください(日本語字幕もあります)。

Albert-László Barabási: The real relationship between your age and your chance of success

[I]f you keep trying, you could still succeed and succeed over and over.

 皆さんがスキルの習得に費やした時間と、実際に得られたスキルは必ず正の関係を持ちます。人によっては100を達成するために1時間を要する人もいれば、5時間を要する人もいるでしょう。スピードに差はあるかも知れませんが、時間とレベルは必ず比例します。体育や芸術などとは違って、データ分析に才能というものは存在しないと、宋は考えております。ただし、年45時間のゼミだけでデータ分析、リサーチデザインなどのスキル全て身につけられるとは期待しないでください。これの数倍、数十倍の時間が必要です。したがって、ゼミ外時間の活動が非常に重要です。特に夏休み・冬休みはスキルアップのための絶好の時期であり、他人と差を付けたいのなら休み期間がチャンスです。ゼミ外時間、そして夏休み・冬休みにも積極的に学習・研究活動に取り組む方を歓迎します。

 ゼミ生からの要望がありましたら、サブゼミとして分析ツール講習会の開催も検討します。また、2022年度は新型コロナで無理だと考えられますが、今後、方法論の合宿も行う可能性もあります。

たくさんの失敗を味わいましょう

 パソコンを触っていくと、何度もエラーメッセージが遭遇したり、自分が欲しい結果が得られない時もあるでしょう。人によってはエラーメッセージなんかに遭遇しない人もいるかも知れません。しかし、現場において最も重宝されるのはたくさんの失敗を経験した人です。成功の経験しかない人は、失敗の時の対応が苦手です。失敗しを繰り返し、それを克服していく過程そのものに大きな意味があります。失敗を恐れない方を歓迎します。

海外の論文を読みましょう

 輪読の際、基本的には日本語の文献(本・論文)を読みますが、必要に応じて英語の文献も読む必要があります。多くの学生が「XXに関する先行研究は存在しない。だから本稿ではXXについて分析を行う」と書いたりしますが、これは高確率で誤りです。ほとんど研究の場合、先行研究が存在します。存在を知らないだけです。たまに、天才的な発想で誰も思いつかなかったテーマを見つけるケースも稀にありますが、本当に稀(SSR)です。また、本当に先行研究が存在しないとしてもそれは現実的に研究の遂行が困難なテーマか、学術的にあまり意味のないテーマである可能性が高いです。皆さんが何かのテーマを決めたらそれに関連する文献は必ずあると考えても良いでしょう。そして、それらのほとんどは英語で書かれています。英語の論文を一回も読んだことのない学生にとって、英語の論文は苦痛でしかないでしょう。しかし、英語の論文はかなり構成が論理的であるため、言語の側面を除けば逆に読みやすいです。また、最近は機械翻訳の精度も非常に高く、こちらも合わせて使うことも可能でしょう(ただし、機械翻訳を盲信してはいけません。たまにとんでもない結果を返したりします)。卒業研究に取り組むまでたくさんの論文を読むことになりますが、日本語の文献だけでなく、海外の文献にも挑戦する方を歓迎します。

サークル活動について

 サークル活動と並行することは全く問題ございませんが、サークル活動の配慮は致しません。欠席に関しましては公欠扱いが可能でしたら公欠としますが、学習やグループワークにおける遅れは全て自己責任となります。欠席された分、一人で遅れを補う積極性が求められます。

2. コミュニケーション能力

 多くの学問分野において共同作業、つまり「共著」が一般化しています。これまで「共著」といえば理系のイメージが強く、文系は「単著」文化だと認識されてきました。総合情報学部は文理融合学部です。共著も単著も体験して頂きます。文系においてもごく一部の分野を除き、共著文化が定着しつつあります。私が携わっている政治学も例外ではありません。共同作業においてコミュニケーション能力が必須です。これは「他人と楽しくしゃべる」ことを意味するわけではありません。ここでのコミュ力とは何かがあったら皆と相談する、途中経過を共有する、他人からのフィードバックに耳を傾けるといったものを指します。共同研究においてこれらは非常に大事です。

 最終的には単著で卒業論文を執筆することになりますが、一人で執筆するとしてもコミュニケーション能力は重要です。研究のプロである研究者たちも一つの論文を出すまで何回も研究会・学会で報告したり、他研究者との相談を通じてフィードバックをもらいます。単著は独り善がりの研究になりやすい故、このようなコミュニケーションは非常に重要です。

 宋にとって日本語は外国語ですし、文法も、アクセントもめちゃくちゃです。それでも人とコミュニケーションをとっています。上手に喋るに越したことはありませんが、大事なのは発信と意見の受け入れを恐れない態度です。

3. 探求力と知的好奇心

 何かを継続していくには、そこから何かの意味を見出さなければなりません。以下の動画を御覧ください(日本語字幕もあります)。最近、色々と(悪い意味で)話題になっているアリエリー先生の動画ですが、内容そのものは良いです。

Dan Ariely: What makes us feel good about our work?

 データ分析手法を身につける過程は退屈な作業の連続です。継続していくためには、目標が必要です。単に「データ分析に慣れたい/上達したい」という曖昧な目標だけでは、途中で諦めやすいです。そもそも「慣れ」や「上達」は主観的なものだからです。やはり「XXを明らかにしたい」といった具体的な問いがあって、その問いに答えるためのスキルとしてデータ分析を習得していく必要があります。むろん、美しいコードを作成したり、綺麗なグラフを作ることが目的の方には、これ自体が目的ですので、良いでしょう(宋がこのタイプの人間です)。あるいは、データ分析に関する資格の取得のような目標も良いかも知れません。「XXを達成したら絶対うれしい!」といった具体的な目標を持つ方を歓迎します。


宋ゼミの到達点

 宋ゼミでは(1)リサーチデザイン、(2)当該分野に関する知識、(3)分析ツール、(4)データ収集、(5)統計学と分析手法に関する知識を身に付けることを目的とします。これら5つのスキルについて背景知識があるに越したことはありませんが、必須ではありません。そもそもこれらのスキルを既に身につけているのであれば、わざわざ宋ゼミに来る必要はないでしょう。以下の内容は前提知識ではなく、これから2年間身につけていくスキル、つまり到達目標です。

1. リサーチデザイン

 何か明らかにしたい問い(リサーチ・クエスチョン)が見つかったら、その問いに答えるためのプロセスを考える必要があり、これがリサーチデザインです。リサーチデザインがしっかりしていれば、研究として最低限の質は保障されます。一方、斬新なテーマ、または問いであってもリサーチデザインがしっかりしていなければ、研究として成り立ちません。自然科学もそうですが、社会科学も今日はリサーチデザインの雛形といったものが決まっております。論文の章立てとしては問題意識、理論・仮説、データ、分析手法およびモデル、分析結果、結論といった順となっており、実際に研究を進めていく際もこの順番に従うことになります。

 社会科学では問いに対する暫定的な答えを用意し、この暫定的な答えの真偽を判定することになります。この暫定的な答えが仮説と呼ばれるものであり、これは印象論や想像でなく、これまでの先行研究や自明な公理の積み重ねで導出されるものです。そのためには問い関する先行研究を読む必要があります。

 リサーチデザインは授業として教わることもできますが、個人の経験が重要です。様々な論文、本を読みながらリサーチデザインを習得して頂きます。優れたリサーチデザインの研究は参考の対象となりますし、そうでない研究でも反面教師として利用することができます。むしろ、リサーチデザインが優れていない研究が見つかればラッキーです。なぜなら、そのリサーチデザインを自分で改良することで一つの立派な研究になるからです。

 本ゼミではリサーチデザインに関する教科書の輪読に加え、いくつかの論文/書籍を読みながらリサーチデザインの感覚を身につけます。これはグループワークおよび卒業論文においても最も重要な内容です。

2. 当該分野に関する知識(ドメイン知識)

 社会現象を分析するためには、その現象に関する知識が必要です。たとえば、「若者の投票率はなぜ低いか」という問いに取り組むのであれば、政治学や政治心理学などの知識が必要です。関西大学総合情報学部には様々な分野に関する科目が開設されております。政治学だと、「政治学」、「政治過程論」、「公共政策論」、「パブリック・アドミニストレーション論」、「ミクロ政治分析」、「マクロ政治分析」などがあります。自分が関心のある分野の授業にも積極的に挑戦してみてください。むろん、これらの分野に関する教科書で独学するのも良いでしょう。総合情報学部は幅広し分野をカバーしますが、全てをカバーしているわけではありません。また政治学の話ですが、総合情報学部では政治理論、政治哲学、国際政治に関する講義は設けられておりません。しかし、これらの分野にも優れた教科書は多数公刊されていますし、一人でも十分学習できます。

3. 分析ツール

 本ゼミでは共同作業における共通言語としてRを使います。これはRがベストな統計ソフト/言語だからではありません。むしろ、Rはプログラミング言語としてはあまり良くないという意見が多いですし、宋もそう思っています。しかし、共同作業において共通言語は必要です。皆が使う統計ソフトがバラバラだったら、共同作業は非常に難しいでしょう。

 ならば、なぜRでしょうか。1つ目の理由は無料で誰でも使えるからです。世の中には大変便利な商用ソフトで溢れています。しかし、共同作業のメンバー全員がそのソフトを持っているとも限りませんし、これらのソフトウェアは安くても数万円、高ければ百万円以上となります。「自分は買える」は「他人も買える」ではありません。2つ目の理由は世の中に存在するほぼ全ての分析ができるからです。世の中には様々な統計手法がありますが、ほとんどの分析がRでできます。最近は新しい手法を発表したら、それを実装したRパッケージも一緒に公開するケースが多いです。3つ目の理由は学習資料が最も豊富だからです。本だけでなく、ウェブ記事やチュートリアルも非常に充実しており、独学にも向いています。Rの使い方に関しては3回生以上科目の「ミクロ政治データ分析実習」などがあります。

 データサイエンス業界ではRとPythonが2大言語であり、最近はJuliaも注目されています。どれも無償で使えるため、こちらを使っても構いません。ただし、共同作業の場合、メンバー全員がその言語を使う必要があります。また、卒業論文のような個人研究の場合、SPSSStataSASなどの有償ソフトウェアの使用を認めます。

 分析ツールの学習は原則、独学となります。ゼミ生の要望がある場合、希望者を対象にサブゼミとして講習会を開くことはできます。また、Rを使用する授業として「ミクロ政治データ分析実習」と「マクロ政治データ分析実習」があります。ゼミ内では主にリサーチデザイン、文献講読、グループワークを中心に行う予定です。

4. データ収集

 データ分析を掲げている以上、データは不可欠です。データを集める前に、私たちは分析の単位を決める必要があります。たとえば、「都市部の有権者は投票率が低い」という仮説があるとします。この場合、分析の単位は個人です。つまり、データの各行は一人一人の個人を表す必要があります。そして、世論調査を行い、回答者が暮らしている地域の規模、そして直近の選挙に投票したか否かを尋ね、データを集める必要があります。この場合、社会調査法の知識が必要となります。しかし、世論調査を行うには非常に大きなコストが必要であり、個人で行うことは困難です(できないという意味ではありません。数万円でできたりもします。)。場合によっては既に他の研究者、機関が行った世論調査データを使うこともあります。このように既に公表されているデータを用いた分析を「2次分析」と言います。ただし、注意すべき点は「集計データ」でなく、「個票データ」を使う必要があるということです。日本の場合、個人データの公開は非常に消極的であるため、注意が必要です。

 世論調査ができず、公開されているデータもない場合は分析の単位を変えることが考えられます。仮説を「都市部はその他の地域より投票率が低い」に変えると、分析の単位は市区町村、または選挙区になります。このようなデータはネット上で手軽に入手することができます。各市区町村の選管ホームページなどを周りながらデータを集めたり、情報公開請求をするなどが必要ですが、金銭的なコストはほぼ発生しません。ただし、このように個々人のデータを集計したデータ、つまり集計したデータを使用すると生態学的誤謬が生じる可能性がある点には注意が必要です。

5. 統計学と分析手法

 言うまでもありませんが、データ分析を行うためには統計学および分析手法に関する知識が必要です。近年のデータサイエンスのブームの影響もあってデータ分析に関する書籍が数百冊以上出版されており、優れたインターネット記事も多く公開されています。また、総合情報学部にはこれに関連する授業が充実しており、学習環境としては最適です。データ分析のためのソフトウェアを使えば、分析は数秒で終わります。たとえば、Rで回帰分析を行うコードは1行で済みます。チュートリアル本や記事が溢れているため、これらのスキルを身につけることは難しくありません。実際、社会科学におけるデータ分析のプロセスにおいて、分析そのものは全体の1〜2割程度に過ぎず、残りの8〜9割はリサーチデザイン、先行研究のレビュー、データ収集、データの前処理、データ/結果の可視化といった作業です。ただし、これが「データ分析は全体のプロセスにおいてあまり重要ではない」ことを意味しません。ほとんどはパソコンが瞬時にやってくれるという意味です。あくまでも費やす時間として短いだけです。

 重要なのは「なぜこの分析を使うのか」、「この分析手法は自分の問いに答えるために適切な手法か」、「分析結果をどう解釈するか」、「分析結果は自分の問いに答えているのだろうか」など、パソコンがやってくれる作業以外のことですし、そのためには確率、線形代数、統計的仮説検定、可視化などの知識が必要です。これらの知識は授業、教科書、参考書、ネット記事などから身につける必要があり、非常に長い道のりです。たとえば、「若者と高齢者の間に投票率の差があるか」といった単純な問いに答えるための母平均の差の検定(t検定)を行うこと自体は1行で済みますが、その結果を正しく解釈するためにはt検定の仕組み、その仕組を理解するためには統計的仮説検定、統計的仮説検定を理解するためには中心極限定理と大数の(弱)法則、また、これらをりかいするためには確率の知識が必要です。これらの知識については近年、分析ツールの使い方を学びながら同時並行的に学習できるような資料もたくさん出ております。教科書の相性は人それぞれですので、ぜひ図書館や本屋などでいくつかの教科書に接してみてください。むろん、宋も積極的にサポートします。


宋ゼミの活動に関連する資料

以下のリストはほんの一部です。これから少しずつ追加しておきます。以下の資料をゼミ中に全て読むことはできませんが、何冊かピックアップして輪読する予定です。