マクロ政治データ分析実習

第9回 線形回帰分析(2)

(そん)  財泫(じぇひょん)

関西大学総合情報学部

2023-11-30

授業開始前に

すぐに実習できるように準備しておきましょう。

  1. JDCat分析ツールを起動しておいてください。
  2. 本日授業用のプロジェクトを作成するか、既存のプロジェクトを開いてください。
  3. LMSから実習用データをダウンロードしておいてください。
  4. ダウンロードしてデータをプロジェクト・フォルダーにアップロードしてください。
    • プロジェクト・フォルダー内にDataフォルダーを作成し、そこにアップロードしましょう。
  5. 実習用コードを入力するスクリプト、またはQuarto(or R Markdown)ファイルを開き、以下のコードを入力&実行してください。
library(tidyverse)
library(fastDummies)
library(summarytools)
library(modelsummary)

jes_df  <- read_csv("Data/JES6_W1.csv")
  • トラブルが生じた場合、速やかにTAを読んでください。
  • 時間に余裕があれば、スライド内のコードも書いておきましょう。

回帰分析による統計的推定

回帰分析における仮説検定

問い:説明変数Xは応答変数Yの変化をもたらすか。

  • 例1) 気温が上がればビールの売上も上がる。
    • ビールの売上 = \(\alpha\) + \(\beta\) \(\times\) 気温
  • 例2) 高齢者の割合が上がれば自民党の得票率も上がる。
    • 自民党の得票率 = \(\alpha\) + \(\beta\) \(\times\) 高齢者の割合
  • 例3) 都道府県の投票率が上がれば、その都道府県がもらう補助金額も上がる。
    • 補助金額 = \(\alpha\) + \(\beta\) \(\times\) 投票率


  • \(\beta = 0\)の場合、説明変数は応答変数の変化をもたらすとは言えない

帰無仮説と対立仮説

例) 他の条件が同じ場合、高齢者の割合が上がれば自民党の得票率も上がる。

自民党の得票率 = \(\alpha\) + \(\beta_1\) \(\times\) 高齢者の割合 + \(\beta_2\) \(\times\) 財政力指数
  • 帰無仮説\(H_0\)):高齢者の割合は自民党の得票率を変化させない。
    • 「高齢者の割合」の傾き係数(\(\beta_1\))は0である(\(\beta_1 = 0\))。
  • 対立仮説\(H_a\)):高齢者の割合は自民党の得票率を変化させる。
    • 「高齢者の割合」の傾き係数(\(\beta_1\))は0ではない(\(\beta_1 \neq 0\))。


  • 傾きの係数が0か否かを検証する。
    • 使用する確率分布は自由度\(n - k - 1\)\(t\)分布
      • \(n\)は標本サイズ、\(k\)は説明変数の数
    • 今後紹介するロジスティック回帰分析の場合は正規分布を使用
      • ただし、\(n\)が十分大きい場合、\(t\)分布は正規分布に近似する。

検定統計量

lm()で回帰分析を行うと、以下のような推定結果が得られる。

term estimate std.error statistic p.value
(Intercept) 15.8910 11.3983 1.3942 0.1703
Over65 0.8810 0.3366 2.6170 0.0121
Zaisei −4.5472 4.8211 −0.9432 0.3507
  • estimate: 切片・傾きの推定値(\(\hat{\alpha}\)\(\hat{\beta_1}\)\(\hat{\beta_2}\)
  • std.error: 推定値の標準誤差
  • statistic: 検定統計量(\(T\)統計量)
0.8810 / 0.3366 # 係数を標準誤差で割る
[1] 2.61735
  • p.value: \(p\)
    • \(p < \alpha\)の場合、帰無仮説を棄却
    • \(p \geq \alpha\)の場合、帰無仮説を受容
  • \(\alpha = 0.05\)を仮定
    • \(p\)値は約0.0121であり、\(p < \alpha\)であるため、帰無仮説を棄却する。したがって、他の条件が同じであれば、高齢者の割合は自民党の得票率を変化させると言える(or 高齢者の割合が高い都道府県ほど自民党の得票率も上がる)。

名目変数の利用

実習用データ

jes_df <- read_csv("Data/JES6_W1.csv")

jes_df
# A tibble: 3,000 × 8
   Temp_Rikken Ideology Interest Gender   Age Education   Job  Income
         <dbl>    <dbl>    <dbl>  <dbl> <dbl>     <dbl> <dbl>   <dbl>
 1          30        9        1      2    69         4     5 4333994
 2          50        7        4      2    47         3     1  979181
 3           0       11        2      2    37         2     1 8498127
 4          50       11        2      1    51         4     2 7572654
 5          30        7        2      1    38         4     1 6436713
 6           0       11        1      1    71         2     5 3410276
 7          10        9        2      1    47         3     2 8652860
 8           0       11        1      1    71         2     5  927703
 9          50        9        1      1    75         4     1 4497693
10          55        6        2      2    66         3     4 2419573
# ℹ 2,990 more rows

データの概要

変数名 説明 備考
Temp_Rikken 立憲民主党に対する感情温度 高いほど好感
Ideology 回答者のイデオロギー 高いほど保守
Interest 回答者の政治関心 高いほど無関心
Gender 回答者の性別 1: 男性 / 2: 女性
Age 回答者の年齢
Education 回答者の最終学歴 1: 中卒以下 / 2: 高校卒 / 3: 高専・短大卒 / 4: 大卒以上
Job 回答者の職業 1: 勤め / 2: 自営業 / 3: 学生 / 4: 専業主婦・主夫 / 5: 無職 / 6: その他
Income 回答者の世帯収入

記述統計

  • 名目変数(GenderJob)はダミー変数に変換
jes_df |>
  dummy_cols(c("Gender", "Job")) |>
  relocate(Gender_1:Gender_2, .before = Gender) |> # Gender_1と_2列をGenderの前に
  relocate(Job_1:Job_6, .before = Job) |>          # Job_1から_6列をJobの前に
  select(-c(Gender, Job)) |>                       # GenderとJob列を除外してからdscer()に渡す
  descr(stats = c("mean", "sd", "min", "max", "n.valid"),
        transpose = TRUE, order = "p")
Descriptive Statistics  

                          Mean      Std.Dev         Min           Max   N.Valid
----------------- ------------ ------------ ----------- ------------- ---------
      Temp_Rikken        34.25        25.95        0.00        100.00   3000.00
         Ideology         6.34         2.10        1.00         11.00   3000.00
         Interest         2.26         0.83        1.00          4.00   3000.00
         Gender_1         0.50         0.50        0.00          1.00   3000.00
         Gender_2         0.50         0.50        0.00          1.00   3000.00
              Age        47.34        15.63       18.00         75.00   3000.00
        Education         3.11         0.89        1.00          4.00   3000.00
            Job_1         0.50         0.50        0.00          1.00   3000.00
            Job_2         0.08         0.28        0.00          1.00   3000.00
            Job_3         0.05         0.21        0.00          1.00   3000.00
            Job_4         0.20         0.40        0.00          1.00   3000.00
            Job_5         0.15         0.35        0.00          1.00   3000.00
            Job_6         0.02         0.14        0.00          1.00   3000.00
           Income   6190334.00   4233639.26   643629.00   25286751.00   3000.00

記述統計

論文・レポートに掲載する際には、読者に読みやすく加工すること。

  • とりわけ、読者から見ればJob_1とかJob_2は意味がわからない
変数 平均値 標準偏差 最小値 最大値 有効ケース数
立憲民主党に対する感情温度 34.25 25.95 0 100 3000
イデオロギー 6.34 2.10 1 11 3000
政治関心 2.26 0.83 1 4 3000
性別:男性 0.50 0.50 0 1 3000
性別:女性 0.50 0.50 0 1 3000
年齢 47.34 15.63 18 75 3000
最終学歴 3.11 0.89 1 4 3000
職業:勤め 0.50 0.50 0 1 3000
職業:自営業 0.08 0.28 0 1 3000
職業:学生 0.05 0.21 0 1 3000
職業:専業主婦(夫) 0.20 0.40 0 1 3000
職業:無職・引退 0.15 0.35 0 1 3000
職業:その他 0.02 0.14 0 1 3000
世帯収入 6190334.00 4233639.26 643629 25286751 3000

回帰モデルに名目変数を投入する方法(1)

lm()関数内のformulaにfactor化した名目変数を追加するだけ

  • factor型変数が説明変数として投入されると、自動的にダミー変数に変換されてから投入される。
    • 注意: ただし、全てのダミー変数が投入されるわけではなく、\(k-1\)個のダミー変数が投入される(\(k\)は当該factor型変数の水準数)。
      • 性別の場合、2つのダミー変数になるが、1つのみ投入される。
      • 職業の場合、6つのダミー変数になるが、5つのみ投入される。
    • 除外されたカテゴリーは「ベース・カテゴリー(base category)」、「参照カテゴリー/レファレンス・カテゴリー(reference category)」、「ベースライン(baseline)」などと呼ばれる(どの水準がベース・カテゴリーになるかは後述)。
    • 解釈は「\(\bigcirc\bigcirc\)(ベース・カテゴリー)に比べ、〜」となる。
jes_df <- jes_df |>
  mutate(Gender = factor(Gender, levels = 1:2, labels = c("Male", "Female")),
         Job    = factor(Job, levels = 1:6, labels = c("Salary", "Self", "Student", "House",
                                                       "Retire", "Etc")))

dummy_fit1 <- lm(Temp_Rikken ~ Ideology + Interest + Gender + Age + Education + Job + Income, 
                 data = jes_df)

推定結果

summary(dummy_fit1)
係数 標準誤差 t統計量 p値
(Intercept) 34.774 3.558 9.772 0.000
Ideology −2.117 0.220 −9.616 0.000
Interest −1.404 0.610 −2.302 0.021
GenderFemale 3.395 1.071 3.170 0.002
Age 0.187 0.037 5.026 0.000
Education 1.970 0.540 3.648 0.000
JobSelf −2.187 1.737 −1.259 0.208
JobStudent 5.775 2.369 2.438 0.015
JobHouse 2.172 1.415 1.535 0.125
JobRetire −1.160 1.519 −0.764 0.445
JobEtc −0.807 3.393 −0.238 0.812
Income 0.000 0.000 −1.343 0.179
  • Ideology:保守的であるほど、立民に対する感情温度が低くなる。
    • イデオロギーが1単位上がると、立民に対する感情温度は約2.113度下がる。
  • Interest:政治関心がないほど、立民に対する感情温度が低くなる。
  • Age:年齢が高いほど、立民に対する感情温度が高くなる。
  • Education:高学歴ほど、立民に対する感情温度が低くなる。

ダミー変数の解釈

解釈の例

  • Gender変数:投入されなかったのは女性ダミー(GenderFemale)であるため、男性ダミー(GenderMale)がベース・カテゴリー
    • 解釈の際は「男性に比べ〜」
    • GenderFemale男性に比べ、女性は立民に対する感情温度が約3.4度高い。
  • Job変数:投入されなかったのは勤めダミー(JobSalary)であるため、勤めダミー(JobSalary)がベース・カテゴリー
    • 解釈の際は「勤めの人に比べ〜」
    • JobSelf勤めの人に比べ、自営業の人は立民に対する感情温度が約2.2度低い。
    • JobStudent勤めの人に比べ、学生は立民に対する感情温度が約5.8度高い。


  • ダミー変数はベース・カテゴリーによって統計的有意性が変わり得る。
    • 統制変数として投入しただけであれば、そもそも解釈は不要
    • 研究において主要説明変数であれば、ベース・カテゴリーの設定は慎重に行う。
      • 「何と何を比べたいか」に注目

ベース・カテゴリーの話

  • Factor型変数の最初の水準(level)がベース・カテゴリーとなる。
levels(jes_df$Gender) # jes_dfのGender列の水準
[1] "Male"   "Female"
levels(jes_df$Job) # jes_dfのJob列の水準
[1] "Salary"  "Self"    "Student" "House"   "Retire"  "Etc"    


ベース・カテゴリーの変更

  • Factor型変数の特定の水準を最初の水準にする場合は、fct_relevel()を使用
    • Factor化済みの変数に使用
    • 2番目以降の水準は既存の順番そのまま
jes_df2 <- jes_df |>
  mutate(Gender = fct_relevel(Gender, "Female"), # Femaleを第1水準に
         Job    = fct_relevel(Job, "Etc"))       # Etcを第1水準に

levels(jes_df2$Gender) # jes_dfのGender列の水準
[1] "Female" "Male"  
levels(jes_df2$Job) # jes_dfのJob列の水準
[1] "Etc"     "Salary"  "Self"    "Student" "House"   "Retire" 

ベース・カテゴリーと推定結果

ダミー変数の係数のみ変化することに注目(切片も変わるものの、切片はそもそも解釈しない)

dummy_fit2 <- lm(Temp_Rikken ~ Ideology + Interest + Gender + Age + Education + Job + Income, 
                 data = jes_df2)
summary(dummy_fit1)
term estimate std.error statistic p.value
(Intercept) 34.774 3.558 9.772 0.000
Ideology −2.117 0.220 −9.616 0.000
Interest −1.404 0.610 −2.302 0.021
GenderFemale 3.395 1.071 3.170 0.002
Age 0.187 0.037 5.026 0.000
Education 1.970 0.540 3.648 0.000
JobSelf −2.187 1.737 −1.259 0.208
JobStudent 5.775 2.369 2.438 0.015
JobHouse 2.172 1.415 1.535 0.125
JobRetire −1.160 1.519 −0.764 0.445
JobEtc −0.807 3.393 −0.238 0.812
Income 0.000 0.000 −1.343 0.179
summary(dummy_fit2)
term estimate std.error statistic p.value
(Intercept) 37.362 4.936 7.570 0.000
Ideology −2.117 0.220 −9.616 0.000
Interest −1.404 0.610 −2.302 0.021
GenderMale −3.395 1.071 −3.170 0.002
Age 0.187 0.037 5.026 0.000
Education 1.970 0.540 3.648 0.000
JobSalary 0.807 3.393 0.238 0.812
JobSelf −1.380 3.677 −0.375 0.707
JobStudent 6.582 4.111 1.601 0.109
JobHouse 2.979 3.483 0.855 0.392
JobRetire −0.353 3.547 −0.100 0.921
Income 0.000 0.000 −1.343 0.179

線形変換: 単位変換

線形変換

ある変数を1次関数を用いて変換すること。

  • 主な使い道は「説明変数をある定数で割る/引く」
    • 例)1円単位で測定された所得を100万円単位に変換する(= 所得を100万で割る)。
      • 説明変数の単位が変わる
    • 例)1、2、3、4で測定された変数を5から引く。
      • 説明変数のスケールが逆転される。
  • 線形変換を行うと、より解釈しやすくなる。

結果の解釈

dummy_fit1の世帯収入(Income)の傾き係数は約-1.538790e-07

  • -1.538790e-07 = -1.538790 \(\times\) 10-7 = -1.538790 \(\times\) 0.0000001 = -0.000000153879
    • 参考)10-1 = 0.1 / 10-2 = 0.01 / …

問題点

  • 係数の解釈1: 「世帯収入が1円上がると、立憲民主党への感情温度が約0.000000153879度下がる。」
    • Incomeの単位は1円であるため、そのまま解釈可能
    • これで良いのか???
  • 係数の解釈2: 「世帯収入が100万円上がると、立憲民主党への感情温度が-0.154度下がる。」
    • Incomeの単位は1円であるため、係数に100万をかける。
      • -0.000000153879 \(\times\) 1000000 = -0.153879
    • まだこっちの方がマシ
    • ただ、毎回、係数に100万をかけて解釈する必要がある。\(\rightarrow\) 面倒
      • Incomeの単位を100万円に変えてしまったらいいんじゃない?

単位変換

  • Incomeを100万単位にするためには、Incomeを100万で割るだけで良い
# jes_dfのIncomeの値を100万で割り、Income_mという新しい変数として追加し、
# jes_df3という新しいデータフレームを作成。
# 変数名は何でも良いが、ここではmillionの頭文字(m)を使用
jes_df3 <- jes_df |>
  mutate(Income_m = Income / 1000000)

# 使用するデータは jes_df3 、Incomeの代わりにIncome_mを投入
fit3 <- lm(Temp_Rikken ~ Ideology + Interest + Gender + Age + Education + Job + Income_m, 
           data = jes_df3)

結果の比較

他の係数は一切変わらず、線形変換された変数の係数(と標準誤差)のみ変わる。

# 世帯収入が1円単位の場合
summary(dummy_fit1)
term estimate std.error statistic p.value
(Intercept) 34.774 3.558 9.772 0.000
Ideology −2.117 0.220 −9.616 0.000
Interest −1.404 0.610 −2.302 0.021
GenderFemale 3.395 1.071 3.170 0.002
Age 0.187 0.037 5.026 0.000
Education 1.970 0.540 3.648 0.000
JobSelf −2.187 1.737 −1.259 0.208
JobStudent 5.775 2.369 2.438 0.015
JobHouse 2.172 1.415 1.535 0.125
JobRetire −1.160 1.519 −0.764 0.445
JobEtc −0.807 3.393 −0.238 0.812
Income 0.000 0.000 −1.343 0.179
# 世帯収入が100万円単位の場合
summary(fit3)
term estimate std.error statistic p.value
(Intercept) 34.774 3.558 9.772 0.000
Ideology −2.117 0.220 −9.616 0.000
Interest −1.404 0.610 −2.302 0.021
GenderFemale 3.395 1.071 3.170 0.002
Age 0.187 0.037 5.026 0.000
Education 1.970 0.540 3.648 0.000
JobSelf −2.187 1.737 −1.259 0.208
JobStudent 5.775 2.369 2.438 0.015
JobHouse 2.172 1.415 1.535 0.125
JobRetire −1.160 1.519 −0.764 0.445
JobEtc −0.807 3.393 −0.238 0.812
Income_m −0.154 0.115 −1.343 0.179

線形変換: スケールの逆転

結果の解釈

dummy_fit1の政治関心の傾き係数は約-1.404

問題点

  • 係数の解釈1: 「Interestが1単位上がると、立憲民主党への感情温度が約1.404度下がる。」
    • これだけだと「政治関心が高い人ほど、立憲民主党に反感を持つ」イメージ
    • しかし、政治関心(Interest)の値は1が関心あり、2がやや関心あり、…、4が関心なし
    • つまり、「Interestが1単位上がる」ということは、「政治関心が1単位下がる」ことを意味する。
    • したがって、「Interestが1単位上がると、立憲民主党への感情温度が約1.404度下がる。」の意味は…
      • 政治関心が1単位下がると、立憲民主党への感情温度が約1.404度下がる。
      • 政治関心が1単位上がると、立憲民主党への感情温度が約1.404度上がる。
    • \(\Rightarrow\) ややこしい
      • 最初からInterestの値を逆転させておけば良いのでは??

スケールの逆転

  • 1〜\(m\)のスケールで測定された変数は\(m + 1\)から引くと、逆転される。
    • Interestは1〜4であるため、5から引く
    • 「5 - 1 = 4」、「5 - 2 = 3」、「5 - 3 = 2」、「5 - 4 = 1」
  • 0〜\(m\)のスケールで測定された変数は\(m\)から引くと、逆転される。
  • \(-m\)\(m\)のスケールで測定された変数は-1をかけると、逆転される。
# jes_df3のInterestの値を5から引き、Interest_rという新しい変数として追加し、jes_df3を上書きする。
# 変数名は何でも良いが、ここではreverseの頭文字を使用
jes_df3 <- jes_df3 |>
  mutate(Interest_r = 5 - Interest)

# 使用するデータは jes_df3 、Interestの代わりにInterest_rを投入
fit4 <- lm(Temp_Rikken ~ Ideology + Interest_r + Gender + Age + Education + Job + Income_m, 
           data = jes_df3)

結果の比較

他の係数は一切変わらず、線形変換された変数の係数(と標準誤差)の符号のみ変わる。

# スケール逆転前
summary(fit3)
term estimate std.error statistic p.value
(Intercept) 34.774 3.558 9.772 0.000
Ideology −2.117 0.220 −9.616 0.000
Interest −1.404 0.610 −2.302 0.021
GenderFemale 3.395 1.071 3.170 0.002
Age 0.187 0.037 5.026 0.000
Education 1.970 0.540 3.648 0.000
JobSelf −2.187 1.737 −1.259 0.208
JobStudent 5.775 2.369 2.438 0.015
JobHouse 2.172 1.415 1.535 0.125
JobRetire −1.160 1.519 −0.764 0.445
JobEtc −0.807 3.393 −0.238 0.812
Income_m −0.154 0.115 −1.343 0.179
# スケール逆転後
summary(fit4)
term estimate std.error statistic p.value
(Intercept) 27.753 3.078 9.015 0.000
Ideology −2.117 0.220 −9.616 0.000
Interest_r 1.404 0.610 2.302 0.021
GenderFemale 3.395 1.071 3.170 0.002
Age 0.187 0.037 5.026 0.000
Education 1.970 0.540 3.648 0.000
JobSelf −2.187 1.737 −1.259 0.208
JobStudent 5.775 2.369 2.438 0.015
JobHouse 2.172 1.415 1.535 0.125
JobRetire −1.160 1.519 −0.764 0.445
JobEtc −0.807 3.393 −0.238 0.812
Income_m −0.154 0.115 −1.343 0.179

様々な線形変換

いずれもデータ分析の場面ではよく使われる方法

  • 単位変換
  • スケールの変換
    • スケールの逆転
    • \(\frac{x - \mbox{min}(x)}{\mbox{max}(x) - \mbox{min}(x)}\)をすると、最小値0、最大値1となる(\(x \geq 0\)の場合)。
      • 係数の解釈は「\(x\)が最小値から最大値へ変化した場合…」となる。
  • 中心化と標準化
    • 中心化:ある変数の値からその変数の平均値を引く。
    • 標準化:中心化した変数を更に標準偏差で割る。
  • 対数変数

課題

課題

  • 教科書(『Rによる計量政治学』)を読む
    • 第10〜13章
    • 第12章では回帰分析の信頼性/妥当性に関わる非常に重要な内容
    • 第13章では本講義で紹介しなかった線形変換の一つである「中心化」を紹介
      • 連続変数を中心化(or 標準化)をすると切片の推定値が意味を持つようになる。
  • 課題の遂行有無は確認しないが、以降、読んだと仮定した上で講義を進める。